23. 『グリーングリーンズ』のコード進行がとても綺麗だった
『グリーングリーンズ』は、星のカービィシリーズで初代から存在する有名な楽曲です。
この通りとても素直で短い曲ですが、妙に耳に残る名曲です。
キーボードを叩いて遊んでいるうちにコード進行を割り出したのですが、非常にお手本のような曲で学べる点が多かったので、メモがてら記事を書いてみます。
グリーングリーンズのコード進行
細かい点が間違っているかもですが、だいたいこんな感じです。
(1拍ずつ記述、ハイフンは継続、アスタリスクは休止)
- イントロ(Key: C): C/G--- | ---- | Dm/A--- | - G/B- *
- Aメロ(Key: C): C--- | ---- | Dm- G- | C--- || C--- | ---- | Dm- E- | Am- C/G- || F- | G- | C--- | ----
- Bメロ(Key: Eb(Cm)): Ab- Bb- | Gm- Ab- | -- Bb- | Cm--- || Ab- Bb- | Gm- Ab- | -- Bb- | G-- *
度数表記では以下のようになります。
- イントロ: Ⅰ--- | ---- | Ⅱm--- | - Ⅴ- *
- Aメロ: Ⅰ--- | ---- | Ⅱm- Ⅴ- | Ⅰ--- || Ⅰ--- | ---- | Ⅱm- Ⅲ- | Ⅵm- Ⅰ- || Ⅳ- | Ⅴ- | Ⅰ--- | ----
- Bメロ: Ⅳ- Ⅴ- | Ⅲm- Ⅳ- | -- Ⅴ- | Ⅵm--- || Ⅳ- Ⅴ- | Ⅲm- Ⅳ- | -- Ⅴ- | Ⅲ-- *
イントロ含めても僅か24小節の曲ですが、基礎的かつ効果的なテクニックが詰まっていると思います。特に、赤文字で記述した部分がテクニカルだなぁ、と思った点です。
テクニック分析
イントロとAメロの初め4小節ですが、DmはFに置き換えても成り立ちます。つまり、最初はスリーコードのみで構成されているとも言えて、非常に素直な響きに聞こえます。
次の4小節ですが、前回ドミナントコードが使われていた部分でEメジャーというノンダイアトニックコードが出てきます。度数表記ではⅢになりますが、これはメジャーコードながら長調から外したコードで、浮遊感を生みます。ここからドミナントモーションでⅥmというマイナーコードへ着地させて、ちょっとした哀愁を漂わせています。
メロディ自体は前半と全く同じですが、コード進行で色を変えています。素直な出だしから少し大人な感じを出して、ギャップを印象づけている感じです。
その後、Bメロへと繋がる4小節ですが、最初の2小節は2/4拍子になっていると解釈するのが良さそうです(そうしないと全体の小節数が不自然になる)。リズム面でも揺さぶりを入れている感じです。
Bメロですが、前振り無しに転調しています。ここのキーですが、同主調転調と解釈するのが良さそうで、Cマイナーキーへの転調と見る方が良い気がします。ただ、パートとしてはそれほど強く短調感もないので、平行調であるEbメジャーキーで考えます。
ラスト8小節目でまたもGメジャー(Ⅲ)が出てきます。これはAメロと同じく浮遊感の演出と考えても良いですが、元々のCメジャーキーへの回帰のきっかけと考えるのが適切そうです。GはCに対するドミナントなので、ここからAメロの先頭へ自然にループできるようになっています。
全体としてみると、「素直なイントロ、素直なAメロ、大人感のあるAメロ、リズムを工夫したAメロBメロのつなぎ、転調のBメロ」という構造です。
最初に素直なパートが続くので、この曲がどういう雰囲気なのかが掴めます。その後、コード進行やリズムを崩して徐々に転調への足がかりを作り、やや短調感のあるBメロでカッコよさを演出した後、また素直なAメロへと戻ります。
…と、起承転結がハッキリしていて必要十分な構成になっていると考えられます。
『グリーングリーンズ』が妙に耳に残るのは、このようにとても綺麗な流れが完成されているからかもしれないですね。