22. コード進行にバリエーションを持たせる簡単な方法
曲を作っていると、ベース音の流れ(いわゆるコード進行)がいつも同じ感じになるなぁ…と悩まされることがあります。
今日はそれに対する簡単な打開策を見出しました(割と今更感がありますが…)。
結論から先に書くと、「代理コードを考えてみる」ということです。
そもそもコード進行とは何なのか
コード進行の理解には音楽理論の基礎が必須なので、先に説明しておきます。
調(キー)
まず、曲には全体を支配する「調(キー)」というものがあります。
調によって使える音程は決まってきます。
たとえば、ハ長調(Cメジャーキー)では「ドレミファソラシ」の7音が使えます。この7音を「ダイアトニックスケール」と言います)。ピアノで言うと白鍵全体で、音符にシャープやフラットが付かないということです。
もちろんハ長調でも黒鍵を使うことはありますが、これはあえて調を揺らすことで曲にメリハリを付けているわけです。
ダイアトニックコード
調によって使えるコードも限られてきます(ここでは3和音のコードを考えます)。
たとえば、ハ長調では「C、Dm、Em、F、G、Am、Bm-5」という7つのコードが基本となります。この7コードを「ダイアトニックコード」と言います。
このコード集合の導き方ですが、まずC(ドミソ)を覚えます。ここからダイアトニックスケール上に、1音ずつ上へずらしていけば良いです。C(ド/ミ/ソ)の次はDm(レ/ファ/ラ)のような感じです。
上記はハ長調に限定した表現ですが、もっと一般的に、あらゆる調に対応した表現もあります。
最もベースとなるコード(これを「トニック」と言います)をⅠとして、「Ⅰ、Ⅱm、Ⅲm、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵm、Ⅶm-5」というものです。音楽理論的にはこちらで考える方が楽なので、以下この表現で統一します。
スリーコード
ダイアトニックコード上で、特に重要なコードはⅠ・Ⅳ・Ⅴです。この3つを特別に「スリーコード」と言います。
スリーコードの名前と役割を簡単に紹介します。
- Ⅰ: トニック。調のベースとなるコード。原則としてこのコードで曲は終わる。
- Ⅳ: サブドミナント。器用貧乏なコード。曲の終わり以外割とどこでも使える。
- Ⅴ: ドミナント。起承転結の「転」。この後にトニックへ繋がると納得感が生まれる。
イメージとしては、トニックが主人公・ドミナントがライバル・サブドミナントがお助けキャラみたいな感じです。
スリーコードを(上記ルールに従って)適当に並べるだけで、それっぽい曲ができます。世の中の曲をとことん単純化すると、スリーコードに帰結できます。逆説的に、スリーコードで作った進行をアレンジすれば、根幹をしっかりさせつつも個性的なコード進行を導き出せます。
代理コード
ようやく本題です。
ダイアトニックコードには、響きの似たコード組がいくつかあります。
たとえば、ⅠとⅥmはよく似ています。ハ長調で考えると「ド/ミ/ソ・ラ/ド/ミ」の和音になるのですが、3音中2音一致していることが分かります。このように、ある3音コードに対して2音一致したコードを「代理コード」と言います。
代理コードはよく似た響きを持つため、代わりにそのコードを置いても違和感のない進行となります。
スリーコードに対するダイアトニックコード上の代理コードは以下のとおりです。
- Ⅰ: Ⅵm、Ⅲm
- Ⅳ: Ⅱm
- Ⅴ: Ⅲm、Ⅶm-5
つまり、スリーコードだけで構成したコード進行の一部を、代理コードで置き換えてみることで個性を出せるわけです。
また、よく見るとメジャーキーの代理コードは全てマイナーキーとなっています。代理コードを用いることで、ある部分に対してメジャー感・マイナー感の微妙なニュアンスを与えることができるわけです。
代理コードの関係は双方向なので、スリーコードに限らず適当に作ったコード進行に対して、「バリエーションを持たせたい」「ここは少し明るくしたい」といった時に、代理コードで置き換えてみると打開できる可能性があります。
…ということを、今日ようやく理解できました、という話でした。