イバコの生存記録

いまは競プロ(AtCoder)記事がメインです。

3. 初期星のカービィシリーズの「音楽の仕掛け」について

2日連続で星のカービィ2の話題になりますが、この作品や前作「夢の泉の物語」は「レベル」という枠で1つの世界があり、その中に複数の「ステージ」があります。
レベルごとにテーマ曲があり、ステージでは主にそのレベルのテーマ曲がBGMとして用いられます。
また、「ステージ選択シーン」におけるBGMもレベルごとに用意されています。
これは、テーマ曲をチルくアレンジしたものになっています。

 

面白いのは、「初めてそのレベルに到達した時は、ステージ選択シーンのBGMではなくテーマ曲が流れる」という点です。この状態でステージに入ると、そのままシームレスにBGMが続きます。
通常、ゲームにおいてはシーンごとにBGMが固定されているので、矛盾した仕様のように思います。

個人的に、これはゲーム制作陣の工夫点だと思います。
初めて新しいレベルに到達したとき、プレイヤーは新しい世界に胸を躍らせているはずです。
そんな中落ち着いたBGMを流してしまうと、プレイヤーの気分と乖離が起きてしまいます。そこで、最初だけはテーマ曲を流す仕様にしたのだと思います。

逆に、初回以外でステージ選択シーンにいるということは、「プレイヤーは何らかのステージをクリアした」という状態のはずです。つまり、一息つくタイミングであり、だからこそ落ち着きのある曲調になっているのでしょう。

 

このように「プレイヤーの気分とBGMを連動させる」仕組みのことを、今日ではインタラクティブミュージックと呼びます。

歴史を追うと、スーパーマリオワールドでは「ヨッシーに乗ると、BGMにパーカッションパートが(シームレスに)追加される」という仕様がありました。
1990年のゲームですので、この頃から「プレイヤーの感情とBGMの連動」は意識されていたのだと思います。

 

現代では、インタラクティブミュージックというとシームレス性が重視されます。
ただ、昔のゲームを遊んでいると、これは突然出てきたアイデアではなく、様々なゲームにおける工夫の積み重ねから抽象化されたものだと分かります。
星のカービィ2の「テーマ曲」の仕掛けも、その流れの1つであると考えるとなかなか感慨深い気がします。