10. 無理数の無理数乗は無理数か?
タイトルの問題ですが、パッと見「は無理数か?」という教科書問題が思い浮かびます。教科書問題では、(は互いに素な非零整数)と仮定して背理法で無理数であることを示します(ともに偶数であることを示せます)。
これと同じように、を有理数と仮定してみますが、この方針ではこれ以上進めるのは難しいです。「無理数乗」の扱いが難しいんですね。
で、どのように進めれば良いかというと、を考えてみます。
です。
ここで、 と置きます。今わかったことは、 です。
① を有理数と仮定すると、 が有理数になります。
つまり、無理数の無理数乗で有理数になるものが存在します。
② を無理数と仮定すると、 より無理数の無理数乗で有理数になるものが存在します。
よって、 が有理数であっても無理数であっても、無理数の無理数乗で有理数になるものが存在しますので、答えは「無理数とは限らない」となります。
この証明が面白いのは、が有理数か無理数か分からなくても反例を挙げられる点です。問題条件を具体化した数についてよく分からないのに、そこから議論が進められるんですね。
不思議な感じですが、こういう推論方法もあるんだなぁ、と思いました。