イバコの生存記録

いまは競プロ(AtCoder)記事がメインです。

53. マスターデュエルを始めた話と遊戯王の思い出について

最近、遊戯王をオンラインで遊べる「マスターデュエル」がリリースされました。
周りでかなり流行っているので、私も久々に…と触ってみています。基本プレイ無料なのですが、無料でも使えるカードがかなり多く、なるほどこれは流行るわけだ、となっています。

 

私が遊戯王にハマっていたのは2004年末~2007年頃です。アニメで言うとGXの第2期~終わりまで辺りで、サイバー・ドラゴンE-HEROがメインだった時代ですね。当時の部活の友人や先輩に誘われて始めたのですが、とても楽しい思い出となっています。

 

遊戯王で特に面白いと思ったのは「チェーン」の概念でした。遊戯王では「罠カード」などを使って、自分や相手のカード使用に対して「待った」を掛けられます。この「待った」に回数制限は無く、待ったに対して待ったを掛ける…ということが無限に行なえます。

このとき、「チェーン」というものが概念的に構築されます。原理は単純で、「待ったの応酬がすべて終わった時、最後に発動された効果から順に処理する」というものです。

たとえば、自分モンスターの攻撃に対して相手が「魔法の筒(攻撃を相手に反射する)」という罠を発動します。これに対して、私は「サイクロン(場の魔法・罠カードを1枚破壊する)」という魔法を発動します。さらにこれに対して、相手は「マジック・ジャマー(魔法の発動を無効にして破壊する)」という罠を発動します。

このとき、プログラミング的に言えば以下の順でスタックが組まれるわけです。

  1. 自分モンスターの攻撃
  2. 相手の「魔法の筒」発動
  3. 自分の「サイクロン」発動
  4. 相手の「マジック・ジャマー」発動

これ以上「待った」が出なくなったところで、発動順とは逆に効果を解決していきます。つまり、以下のようになります。

  1. 相手の「マジック・ジャマー」が発動
  2. 自分の「サイクロン」が発動しようとするが、「マジック・ジャマー」が有効なので発動に失敗する
  3. 相手の「魔法の筒」発動
  4. 自分モンスターの攻撃が反射して自分に返ってくる

この「待った」の応酬に論理的な解決方法が設けられている点がとても面白くて、当時の自分はハマっていたように思います。

…余談ですが、上の例では「サイクロン」を発動していますが、本当は「マジック・ジャマー」が無くても「魔法の筒」を防げない例となっています。遊戯王では「破壊」と「無効」が厳密に区別されています。他にも色々と用語定義がめちゃくちゃで、法律書を読んでいる気分になります。「~する時」と「~する場合」で若干意味が違ったり…。

 

話を元に戻して、自分が遊戯王にハマっていた2004年末~2007年頃ですが、遊戯王の歴史的には比較的穏やかな時代だったようです。だからこそ色んなデッキで楽しめたのかもしれません。

ところが、2008年頃に急激に冷めてしまったのでした。今になって考えると、理由は環境のインフレでした。

当時、新たな召喚方法として「シンクロ召喚」というものが生まれていました。これは、今までの遊戯王では考えられないほど手軽に強力なモンスターを召喚できるシステムでした。初めこそきちんとバランス調整されていたのですが、徐々にインフレ方向へ舵が切られ始め、やがて止まらなくなっていきました。

私にとって、引退の決定打となったのは「ゴヨウ・ガーディアン」というモンスターでした。このモンスターはかなり制約の緩いシンクロ召喚で出てくる割に攻撃力2800と高く、しかも倒した相手モンスターを奪うというとんでもない効果を持っていました。当時の上級モンスターはだいたい攻撃力2400が中心で、シンクロ以前のカードでゴヨウ・ガーディアンとマトモに戦うのは正直不可能でした。

ずっと一緒に遊んできた先輩のゴヨウ・ガーディアンを前に、私は何も打開策を見出だせなくなったのです。それまで、初めに組み上げたアンデットデッキを少しずつ改良してきたのですが、もはやこのデッキでは全く歯が立たない時代になったと悟りました。そして、シンクロ一強のゲームバランスに冷めてしまったのでした。

 

いつの間にかあれから10年以上経ち、マスターデュエルで久々に復帰しましたが、さらにインフレを極めていてすごいな…と思います。墓地利用はアンデットの特権だったのですが、最近のカードは当然のように墓地効果を持っています。墓地とは一体…。

さらに、デッキからぼんぼんモンスターを出せますし、相手の効果を一切受け付けない「神」のカードじゃん…というモンスターもわんさかいます。デッキから特定のモンスターを出せるようにするのは、私が遊んでいた当時はかなり禁忌めいていて強い制約があったものですが…。そして、どのデッキも意味不明な特殊召喚祭りで1ターンが異常に長いです。特殊召喚祭りもアンデットの(略)

遊戯王は罠カードの駆け引きや、それに乗じたロールプレイで盛り上がるのが楽しかったのですが、随分違うゲームになってしまったなぁ、と思いました。